介護保険料とは?40歳からの負担額と計算方法
40歳になると給与から天引きが始まる介護保険料。いくら引かれるのか、どう計算されるのかを令和6年度の最新料率で解説します。
1. 介護保険制度の概要
介護保険は、高齢者が介護サービスを必要としたときに、社会全体で支える仕組みとして2000年(平成12年)にスタートした公的保険制度です。要介護認定を受けた方が、1〜3割の自己負担で介護サービスを利用できます。
被保険者の区分
| 区分 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 |
|---|---|---|
| 対象年齢 | 65歳以上 | 40歳〜64歳 |
| 保険料の徴収 | 年金から天引き | 健康保険料に上乗せ |
| サービス利用 | 原因を問わず利用可 | 特定疾病の場合のみ |
会社員にとって身近なのは第2号被保険者(40〜64歳)です。毎月の給与明細で「介護保険料」として天引きされるのがこれにあたります。
2. いつから天引きされる?
介護保険料の徴収は40歳の誕生日の前日が属する月から始まります。法律上、年齢が加算されるのは「誕生日の前日」であるため、注意が必要です。
注意:誕生日が月の1日の場合
例えば5月1日が誕生日の方は、前日の4月30日に40歳に達するため、4月分から介護保険料が発生します。5月1日以外の5月生まれの方は5月分からとなるため、1日生まれの方は1か月早くなります。
具体例
- 8月15日生まれ → 8月分から徴収開始(給与からの天引きは翌月の9月給与)
- 9月1日生まれ → 8月分から徴収開始(前日8月31日に40歳到達)
- 4月30日生まれ → 4月分から徴収開始
実際の天引きタイミングは会社の給与計算サイクル(当月徴収か翌月徴収か)によって異なりますので、不明な場合は総務・人事部門に確認しましょう。
3. 介護保険料の計算方法
第2号被保険者(40〜64歳の会社員)の介護保険料は、健康保険料と同じく標準報酬月額に保険料率を掛けて計算します。
令和6年度の協会けんぽの介護保険料率は1.82%です。労使折半なので、本人負担は0.91%となります。
計算例:標準報酬月額30万円の場合
300,000円 × 1.82% ÷ 2 = 2,730円/月
年間では 2,730円 × 12 = 32,760円 の負担になります。
なお、健康保険組合に加入している場合は、組合独自の介護保険料率が適用されるため、協会けんぽとは異なる金額になることがあります。
4. 月給別の介護保険料一覧表
協会けんぽ(令和6年度・介護保険料率1.82%)の場合の、月給別の介護保険料(本人負担分)をまとめました。
| 月給(標準報酬月額) | 介護保険料(月額) | 年間負担額 |
|---|---|---|
| 200,000円 | 1,820円 | 21,840円 |
| 220,000円 | 2,002円 | 24,024円 |
| 240,000円 | 2,184円 | 26,208円 |
| 260,000円 | 2,366円 | 28,392円 |
| 280,000円 | 2,548円 | 30,576円 |
| 300,000円 | 2,730円 | 32,760円 |
| 320,000円 | 2,912円 | 34,944円 |
| 340,000円 | 3,094円 | 37,128円 |
| 360,000円 | 3,276円 | 39,312円 |
| 380,000円 | 3,458円 | 41,496円 |
| 400,000円 | 3,640円 | 43,680円 |
| 440,000円 | 4,004円 | 48,048円 |
| 500,000円 | 4,550円 | 54,600円 |
※ 上記は協会けんぽの介護保険料率1.82%(本人負担0.91%)で計算した概算値です。実際の金額は標準報酬月額の等級により若干異なる場合があります。
5. 39歳と40歳で手取りはどう変わる?
40歳になって介護保険料の天引きが始まると、手取りはどのくらい減るのでしょうか。月給30万円の会社員を例にシミュレーションしてみます。
| 項目 | 39歳 | 40歳 |
|---|---|---|
| 月給(額面) | 300,000円 | 300,000円 |
| 健康保険料 | 14,970円 | 14,970円 |
| 介護保険料 | 0円 | 2,730円 |
| 厚生年金 | 27,450円 | 27,450円 |
| 雇用保険 | 1,800円 | 1,800円 |
| 社会保険料合計 | 44,220円 | 46,950円 |
手取りの差額
40歳になると、月額で約2,730円(年間約32,760円)手取りが減ります。加えて、介護保険料が増えた分だけ課税所得が減る(社会保険料控除)ため、所得税・住民税がわずかに下がり、実質的な負担は若干軽くなります。
6. 介護保険料が変わるケース
標準報酬月額の改定(定時決定・随時改定)
毎年4〜6月の報酬の平均から標準報酬月額が見直されます(定時決定)。昇給・降給があった場合、翌年の9月から新しい等級が適用されます。また、固定的賃金に大幅な変動があった場合は随時改定として、年度の途中でも変更されることがあります。
健保組合による料率の違い
介護保険料率は加入している健康保険によって異なります。協会けんぽは全国一律1.82%ですが、大企業の健康保険組合は独自の料率を設定しています。
- 協会けんぽ:1.82%(令和6年度)
- 健保組合:組合により異なる(1.2%〜2.5%程度の幅がある)
年度ごとの料率改定
介護保険料率は毎年見直されます。高齢化の進展に伴い、長期的には上昇傾向にあります。協会けんぽの介護保険料率の推移は以下のとおりです。
- 令和3年度:1.80%
- 令和4年度:1.64%
- 令和5年度:1.82%
- 令和6年度:1.82%
7. 65歳以降の介護保険料
65歳になると第1号被保険者に切り替わり、介護保険料の仕組みが大きく変わります。
第1号被保険者の特徴
- 保険料は市区町村ごとに決定される(全国一律ではない)
- 所得段階に応じた定額制(会社員時代の料率計算とは異なる)
- 原則として年金から天引き(特別徴収)される
- 年金額が年18万円未満の場合は納付書で支払い(普通徴収)
保険料の目安
第1号被保険者の基準額は市区町村により異なりますが、全国平均は月額約6,000〜7,000円(令和6〜8年度)です。所得が高い方は基準額の1.5〜2倍以上になることもあります。
65歳になるときの切り替え
65歳になると、給与からの介護保険料の天引きは終了し、代わりに年金から天引きされるようになります。ただし、65歳以降も会社で働いている場合でも、健康保険料からは介護保険料分が外れ、年金からの天引きに一本化されます。
よくある質問
Q. パートやアルバイトでも介護保険料は引かれますか?
社会保険に加入している40歳以上の方であれば、パート・アルバイトでも介護保険料は天引きされます。社会保険の加入条件(週の所定労働時間が正社員の3/4以上、または従業員51人以上の企業で週20時間以上など)を満たしているかどうかがポイントです。社会保険に加入していない場合は、国民健康保険を通じて介護保険料を支払います。
Q. 介護保険料は年末調整や確定申告で控除できますか?
はい、介護保険料は社会保険料控除の対象です。会社員の場合、給与から天引きされた介護保険料は年末調整で自動的に控除されるため、特別な手続きは不要です。控除により課税所得が減り、所得税・住民税が軽減されます。
Q. 介護保険料を払っていても、40〜64歳は介護サービスを使えないのですか?
第2号被保険者(40〜64歳)でも、特定疾病(末期がん、関節リウマチ、初老期における認知症など16種類)が原因で要介護状態になった場合は、介護サービスを利用できます。交通事故などの特定疾病以外が原因の場合は対象外です。
手取り額を計算してみる
介護保険料を含めた社会保険料・税金の控除後の手取り額を即座に計算できます。
手取り計算ツールを使う